予定仕訳と実現仕訳の意味と使い方。資金繰りの見える化のために使う予定仕訳

予定と実現

会計ソフトで仕訳作業をしていると「実現済み」「予定」といった項目が目につくかと思います。
これは何のためにあって、どのように使うのかをご説明します。

経理は過去のできごとの記録だけではなく、将来のお金の動きを把握するための業務でもあります。
そのためにもこの機能の意味を理解して使いこなせるようになりましょう。

実現仕訳と予定の実現

実現仕訳とは既に行った取引を記録する際に使用します。

会計ソフトの仕訳入力では、実現済みと予定が選択できるようになってますが、最初から「実現済み」が選択されているかと思います。それくらい通常の仕訳ではこちらを使うことが多いです。

予定仕訳を実現化することを「予定の実現」と言います。
その名の通り、予定していた取引が実際に起こったら処理します。
事例を交えて後述します。

予定仕訳

予定仕訳とはまだ実現していないけど、将来起こる取引を記録しておくためのものです。

個人事業主でも小規模法人でも、事業主自らが経理業務を行っていると、経理業務は月に1回、あるいは年に1回というパターンもあるのではないでしょうか?

予定仕訳はキャッシュフローを見通すために行う

面倒かもしれませんが、予定仕訳を行うことでキャッシュフロー(資金繰り)の見える化が可能なので、経営状態の把握のためにも積極的に使ってほしい機能です。

例えば、家賃や給与、税金など額が大きくて支払日が決まっているものを予定仕訳しておくことで、資金繰り計画も立てられます。

言い換えれば、仕訳業務をしながら資金繰り表も同時に作成していくといったイメージです。

ケイリー・オッジ

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事例:私の予定仕訳と実現仕訳の使い方

月内の動きをご紹介します。

予定仕訳をする取引

金額が大きな取引の予定仕訳をします。
私の場合は役員報酬家賃クレジットカードの引き落とし、それと売掛金の回収です。

家賃は変動するものではなく同じ金額なので、3ヶ月先の支払予定も仕訳したりしてます。

クレジットカードの引き落とし額については、支払日の20日くらい前に金額が確定するので、確定したら予定仕訳を行います。

役員報酬については経費の精算などもあるので、正確な金額は給料日近くにならないとわかりませんのが概算はわかります。(特に役員報酬は変動がないので。)

具体的な仕訳例

上記の取引の予定仕訳は下記のように振替伝票で手動入力します。

手動で入力する予定仕訳
11月10日 未払金 AMEX 94,751円 / 普通預金 ABC銀行 94,751円
11月25日 役員報酬 300,000円 / 普通預金 ABC銀行 300,000円
11月30日 地代家賃 150,000円 / 普通預金 ABC銀行 150,000円

売掛金の回収は連携している請求書作成ソフトで請求書を作成すると、下記のように自動的に予定仕訳がされるので手動では入力しません。

請求書作成時に自動で行われる予定仕訳
11月30日 普通預金 ABC銀行 500,000円 / 売掛金 ▲▲▲商事 500,000円

連携した請求書ソフトで請求書を作成すると上記と同時に売上を計上する仕訳もされます。(予定仕訳ではないので省略)

未実現マーク

MFクラウドでは予定仕訳を行うと仕訳帳に未実現と表示されます。

予定仕訳の実現

上記の予定仕訳の期日になったら「予定の実現」の処理を行います。
私の場合、銀行口座のデータは自動取得していますので処理は簡単です。

期日になったら下記のような取引データが表示されます。

自動取得データ

これは私が使っているMFクラウドの画面ですが、銀行の取引データが自動取得できるタイプのクラウド型会計ソフトでしたら、どのソフトでもこのような画面があります。

予定の実現にチェックを入れる

「予定実現」にチェックを入れると勘定科目「未選択」に変わって、プルダウンで予定仕訳が選択できるようになります

銀行口座の増減に該当する取引を選択して「登録」をクリック。
家賃や役員報酬についても同様に処理します。

役員報酬についての補足
役員報酬の確定額がわかった時点で、概算で手動入力した役員報酬は削除します。

役員報酬の計算は給与計算ソフトを使っていて、計算したと同時に予定仕訳がされます。その自動予定仕訳と手動入力した概算値が重複するので、概算値の予定仕訳を削除します。
(最近では概算値の予定仕訳をしないこともあります。)

これで「予定仕訳」から「予定の実現」までの一連の流れは完了です。

予定仕訳は資金繰り表(キャッシュフローチャート)に反映される

わざわざ手間のかかる予定仕訳なんて何のためにするのでしょうか?
それは経営状態の見通しを良くするためです。

経営状態の見通しなんて言葉を使うと大げさかもしれませんが、どんな事業でも資金繰りは最重要です。
財務諸表上黒字でも現金がなければ潰れてしまいます。

資金繰り表(キャッシュフローチャート)

MFクラウドではこのようなチャートでキャッシュフローを見える化できます。
青が収入、赤が支出、緑の細い線が預金残高です。

重要なのは緑の線です。この線が下に着いたら終わりです。
この線を下に着かせないために、収益を上げたり、支出を減らしたり、お金を借りてくるのが経営者の仕事です。

ちなみに、7月と8月は税金の支払関係で支出が急増してます。
一年間コツコツ貯めてきた預金を国と地方にごっそり持っていかれるのです。


予定仕訳と予定の実現の話から多少逸れましたが、予定仕訳と予定の実現は経営にとって便利なツールであるということだけでもご理解いただければと思います。